AIに業務を相談してみたけれど、返ってきた答えがなんとなく的外れだった。専門用語ばかりで実用的じゃない。「教科書みたいな一般論」しか出てこない——そんな経験はないでしょうか。
これ、AIが悪いわけでも、自分の頭が悪いわけでもありません。多くの場合、伝え方のちょっとしたコツを押さえれば、返ってくる答えはぐっと自分に合ったものに変わります。
今回は、特別なテクニックは要らない、誰でもすぐ取り入れられる「伝え方」のコツを紹介します。「プロンプト」と呼ばれる難しい呪文を覚える必要はありません。普段の言葉のままで、ほんの少しの工夫を加えるだけです。
ズレた答えが返ってくる理由
そもそも、なぜ答えがズレるのか。原因の多くは、こちら側の「情報不足」にあります。
たとえば「業務を効率化したい」と聞いたとします。AIから見れば、これは情報がほとんどない問いです。誰が、何の業務を、どんな規模で、どこに困っているのか——前提が分からない以上、答えは「一般的にはこうします」という教科書みたいなものにならざるを得ません。
AIは状況を察してくれません。こちらが伝えた情報の範囲でしか答えられない、というのが基本の性質です。だから「自分に合った答え」を引き出したいなら、まずは状況を伝えるところから始めます。
伝え方の4つのコツ
ここからが本題です。次の4つを意識すると、返ってくる答えが目に見えて変わります。
1. 立場と状況をひとこと添える
最初に「自分が何者で、どういう状況にいるか」をひとこと書くだけで、答えは大きく変わります。
たとえば「請求書の作り方を効率化したい」だけより、「個人事業主で、月10件くらいの請求書をExcelで手入力している。ITはあまり詳しくない」と添える。これだけで、AIは"あなた向け"の答えを返してくれます。
長く書く必要はありません。1〜2行で十分です。
2. 何に困っているかを具体的に
「効率化したい」より、「合計金額の計算ミスで何度も確認している」「先月分のコピーを使い回していて、消し忘れが起きる」のほうが、AIも何を解決すべきか分かります。
困っている場面を、できるだけ具体的に書く。これだけで、答えは抽象論から実用的なものに変わります。
3. どこまで欲しいかを伝える
「ざっくりした全体像が知りたい」のか、「すぐ使える具体的な手順が欲しい」のか、これを伝えるかどうかで答えの形が変わります。
「まず全体像を教えて」「初心者向けに段階的に教えて」「専門用語は使わずに」——こういった一言を添えると、自分に合った深さで返してくれます。
4. 返ってきた答えに「うちだとどう?」と返す
これがいちばん大事かもしれません。AIの最初の答えが少しズレていても、そこで終わらない。
「もっと簡単な方法はない?」「うちの業務だとどうなる?」「初心者でもできる範囲で」と返していくと、答えがどんどん自分に合わせて具体化していきます。AIとの会話は、一度のやり取りで完結させるより、何回かラリーするほうが結局早く答えにたどり着きます。
「悪い例」と「良い例」を見比べる
実際に、伝え方で答えがどう変わるかを見てみます。
悪い例
業務を効率化したい。何から始めるべき?
これだとAIは一般論を返すしかありません。「まずは業務を洗い出して、優先順位をつけて……」という教科書的な答えが返ってきます。
良い例
個人事業主で、毎月の経理作業に5時間くらいかかっている。請求書の作成と入金確認が手間。Excelは普通に使えるけど、関数はSUMくらいしか分からない。 何から効率化に手をつけるべきか、具体的に教えてほしい。
これだとAIは状況を踏まえた答えを返せます。「請求書はテンプレート化から、入金確認はスプシで管理する流れで、関数はこれを覚えれば十分」というように、自分に合った答えになります。
違いは「呪文」ではなく「情報量」です。状況・困りごと・どこまで欲しいか——この3つを添えるだけで、結果は驚くほど変わります。
完璧な質問を考えなくていい
ここまで読んで「ちゃんとした質問を組み立てなきゃ」と構えてしまったかもしれません。でも、そこまでしなくて大丈夫です。
最初のひとことは雑でかまいません。「請求書づくりが面倒なんだけど、どうすればいい?」でいい。AIが続きを質問してくれるので、その質問に答えるうちに、自然と情報が出揃っていきます。
大事なのは、「完璧な質問を一発で投げる」ことではなく、「会話を続ける」ことです。ラリーを重ねるほど、AIは自分の状況を理解し、答えは具体的になります。難しいテクニックを覚える必要はなく、普段の言葉で対話する感覚で大丈夫です。
まとめ
AIに業務を相談するとき、答えがズレるのはたいてい情報不足が原因です。立場と状況をひとこと添える・困りごとを具体的に・どこまで欲しいかを伝える・返ってきた答えに聞き返す——この4つを意識するだけで、答えの精度はぐっと上がります。
完璧な質問を考えてから投げる必要はありません。雑な一言から始めて、会話を続けるなかで具体化していけば十分です。AIとは、対話のキャッチボールで使うもの、と考えると気が楽になります。
「AIを使ってみたいけど、何をどう聞けばいいか分からない」と感じたら、お気軽に相談してもらえればと思います。実際の業務に合わせて、伝え方を一緒に練習するところからお手伝いできます。