業務効率化、何から手をつけるべきか迷ったら

業務効率化、何から手をつけるべきか迷ったら

効率化したいのに何から始めればいいか分からない。そんなときに役立つ、優先順位を決める3つのものさしを紹介します。作業の書き出しから小さく試すコツまで、挫折しない進め方を具体例で解説します。

「効率化したい」とは思っているけれど、いざ始めようとすると手が止まる。請求も在庫もシフトも、改善したいことはいくらでもある。でも全部やる時間はないし、どれから手をつければいいのかが分からない——そんな状態で止まってしまっていませんか。

実は、効率化でつまずく一番多い原因は「やり方」ではなく「順番」です。効果の小さいところから始めてしまったり、いきなり全部を変えようとして力尽きたり。逆に言えば、順番さえ間違えなければ、少ない労力でも手応えを感じられます。

今回は、「何から手をつけるべきか」を決めるための、シンプルな考え方を紹介します。難しいツールの話は出てきません。まずは紙とペンがあれば十分です。

「全部やろう」とすると、たいてい挫折する

効率化に意気込んだとき、ありがちなのが「気になるところを一気に変えよう」とすることです。気持ちは分かるのですが、これはたいてい途中で止まります。

理由は2つあります。1つは、同時にいくつも変えようとすると、どれも中途半端になってしまうこと。もう1つは、目立つ作業や思いついた作業から手をつけてしまい、実は効果の小さいところに時間を使ってしまうことです。

たとえば「年に1回の棚卸し」を頑張って効率化しても、減る手間は年に1回分だけ。それより「毎日発生する小さな転記作業」を直したほうが、トータルで見れば効果は大きい。でも、年1回の大きな作業のほうが印象に残るので、つい先に手をつけてしまうんですね。

だからこそ、感覚ではなく「ものさし」で優先順位を決めることが大事になります。

全部同時に手をつけると止まる
全部同時に手をつけると止まる

優先順位を決める3つのものさし

どの作業から手をつけるか。私はいつも、次の3つの観点で見るようにしています。

① どれくらいの頻度で発生するか

毎日やる作業か、月に1回か、年に1回か。当たり前ですが、発生頻度が高いほど、改善したときの効果は積み重なります。毎日10分の作業を5分にできれば、月に約100分浮く計算です。

「面倒な作業」ほど印象に残りますが、頻度を冷静に数えると、優先すべき作業が変わってくることがよくあります。

② 1回にどれくらい時間がかかるか

1回あたりの所要時間も大事な観点です。頻度が低くても、1回で半日かかるような作業なら、効率化の価値は十分あります。

頻度(①)と所要時間(②)を掛け合わせると、「その作業に毎月どれくらい時間を使っているか」が見えてきます。ここが大きい作業ほど、効率化の効果も大きいわけです。

③ ミスしたときの影響が大きいか

時間だけでは測れないのが、ミスのリスクです。請求金額の間違い、在庫数のズレ、給与計算の誤り——これらは時間以上に、信用やお金に直結します。

手作業で何度も確認している作業、ヒヤッとした経験のある作業は、たとえ時間が短くても優先度を上げる価値があります。自動化やチェックの仕組みを入れることで、確認の負担そのものを減らせるからです。

頻度・時間・リスクの3つのものさし
頻度・時間・リスクの3つのものさし

実際にやってみる ——作業を書き出して点数をつける

考え方が分かったら、あとは手を動かすだけです。やることはシンプルで、紙でもスプレッドシートでも構いません。

まず、毎月発生している作業を思いつくかぎり書き出します。請求書作成、入金確認、在庫の棚卸し、シフト作成、日報のチェック——粒度は気にせず、まずは並べることが目的です。

次に、それぞれの作業に3つのものさしで点数をつけます。たとえば「高・中・低」の3段階で十分です。

作業 頻度 1回の時間 ミスの影響
請求書作成 高(毎月)
在庫の棚卸し 低(年1)
シフト作成 高(毎週)

こうして並べると、「請求書作成」のように頻度が高くてミスの影響も大きい作業が、優先度の高い候補として浮かび上がってきます。感覚で「面倒だ」と思っていた作業と、実際に効果の大きい作業は、案外ずれているものです。

最初の1つは「小さく試す」

優先順位が見えたら、いよいよ着手です。ここで大事なのは、いきなり完璧を目指さないこと。

たとえば請求書作成を効率化するにしても、最初から「全自動化」を狙うと、準備も学習も大変で、結局止まってしまいます。それよりも、「よく使う項目をテンプレート化する」「計算式で合計を自動にする」といった小さな一歩から始めるほうが、はるかに続きます。

小さく試して効果を実感すると、「次はここも」と自然に進みたくなります。効率化は一度に終わらせる作業ではなく、少しずつ育てていくものだと考えると、気持ちもずっと楽になります。

うまくいった部分が増えてきたら、そのとき初めて「ツールを入れるべきか」「もっと本格的に自動化すべきか」を検討すればいい。順番としては、ツール選びはいつも後からで大丈夫です。

小さく試して育てる
小さく試して育てる

まとめ

効率化でつまずく原因の多くは、やり方ではなく順番にあります。全部を一気に変えようとせず、まずは作業を書き出して、頻度・時間・ミスの影響という3つのものさしで優先順位をつける。そして、効果の大きい1つを小さく試すところから始める。

ツールやソフトを選ぶのは、そのあとで十分です。大切なのは、自分の業務の中で「どこが一番効くのか」を先に見極めることです。

「書き出してはみたものの、どれが一番効果があるのか判断がつかない」と感じたら、お気軽に相談してもらえればと思います。業務を一緒に整理して、優先順位を考えるところからお手伝いできます。

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