棚卸しのたびに、帳簿の数と実際の在庫が合わない。「あれ、3個足りない」「なぜか1個多い」。原因を探して倉庫を行ったり来たり、伝票を遡って確認して、結局よく分からないまま数字を合わせる。そんな時間の使い方になっていないでしょうか。
在庫が合わないのは、誰かがサボっているからでも、特別にだらしないからでもありません。多くの場合、記録の「やり方」に原因があります。原因の場所さえ分かれば、専用システムを入れなくても、ズレはかなり減らせます。
今回は、在庫の数が合わなくなる原因を整理したうえで、今日から始められる改善策を紹介します。
なぜ在庫の数は合わなくなるのか
在庫がズレる原因は、だいたい次の3つに集約されます。
1つめは、記録のタイミングがバラバラなこと。入荷したとき、出荷したとき、その場で記録せずに「あとでまとめて」としていると、記録漏れが必ず起きます。人の記憶は思った以上にあてになりません。
2つめは、記録する人が複数いて、書き方が統一されていないこと。Aさんは商品名で書き、Bさんは略称で書く。同じ商品が別物として記録され、数が合わなくなります。
3つめは、記録の場所が分散していること。紙の伝票、ノート、頭の中、人によってバラバラだと、全体像が誰にも見えません。集計のときに突き合わせる作業も大変です。
つまり在庫のズレは、「記録のタイミング」「書き方」「場所」がそろっていないことから生まれます。逆に言えば、この3つを整えるだけで、ズレは大きく減らせるということです。
まずやるべきは「記録の一本化」
専用の在庫管理システムを検討する前に、やっておきたいことがあります。それは、記録の場所を1つにまとめることです。
紙の伝票やバラバラのノートで管理しているなら、まずは1つの表(ExcelやGoogleスプレッドシート)に集約します。複数人で扱うなら、スマホからも入力できるスプレッドシートが便利です。その場で記録できる環境を作ることが、記録漏れを防ぐ第一歩になります。
そのうえで、記録のルールを決めます。
入出庫はその場で記録する
「あとでまとめて」をやめて、入荷・出荷が発生したその場で記録する。これだけで記録漏れは大きく減ります。スマホから1行入力するだけ、という手軽さにしておくと続きやすいです。
商品名と書き方を統一する
商品の呼び方を1つに決めて、リストから選ぶ形にします。手入力で自由に書けると表記がブレるので、あらかじめ用意した選択肢から選ぶようにするのがコツです。これで「同じ商品が別物として記録される」問題が防げます。
在庫数は自動で計算する
入庫数と出庫数を記録すれば、現在の在庫数は計算で自動的に出せます。手で在庫数を書き換えるのをやめて、「入庫と出庫の記録」だけを残すようにすると、ミスが入り込む余地が減ります。
棚卸しの負担も軽くなる
記録を一本化してルールを整えると、棚卸しそのものもぐっと楽になります。
これまでは、棚卸しのたびに「帳簿上の数」を伝票から拾い集めていたかもしれません。記録が1つの表にまとまっていれば、帳簿上の在庫数はいつでも自動で出ています。あとは実物を数えて突き合わせるだけ。
それでもズレが出たときは、原因を探しやすくなります。記録が時系列で残っているので、「いつ・何が・どれだけ動いたか」を遡れる。どこで記録が漏れたのか、見当をつけやすくなるわけです。
完璧にゼロにするのは難しくても、「毎回大きくズレて原因も分からない」状態から、「たまに少しズレるが原因はすぐ分かる」状態に変わるだけで、棚卸しのストレスは大きく減ります。
専用システムを検討するのはそのあとで
記録を一本化してもまだ手が回らない、扱う商品数が膨大、複数拠点がある——そうなって初めて、専用の在庫管理システムを検討する段階です。
順番が逆になると、うまくいきません。記録のルールが整っていないまま高機能なシステムを入れても、結局「入力されない」「書き方がバラバラ」という同じ問題が起き、システムの中でズレが再現されるだけです。
まずは手元の表でルールを整え、運用が回ることを確認する。そのうえで、規模に見合ったシステムを選ぶ。この順番が、無駄な投資を避けるコツです。
まとめ
在庫の数が合わないのは、記録の「タイミング」「書き方」「場所」がそろっていないことが主な原因です。専用システムを入れる前に、まずは記録を1つの表に一本化し、その場で記録する・書き方を統一する・在庫数は自動計算する、という3つのルールを整えてみてください。
それだけで、ズレは大きく減り、棚卸しの負担も軽くなります。システムを検討するのは、運用が回るようになってからで十分です。
「記録を一本化したいけど、自社の商品だとどう作ればいいか分からない」と感じたら、お気軽に相談してもらえればと思います。扱っている商品や作業の流れに合わせて、無理なく続けられる形を一緒に考えられます。